 
――今までにない戦争映画に仕上がったと思いますが、監督自身はその点を意識されていますか?
最初からあえて「これまでと違った戦争映画にしよう」という特別な意識はなかったですね。ただ、第二次世界大戦の時代性やそこで命を懸けて戦う人々を通して、現代を描きたい、描かなければという気持ちは僕だけじゃなくて、この映画に携わった全員が心のどこかで感じていたと思います。今、日本という国はいろいろな意味で追い込まれていて、大小問わずほころびが出始めている。こんな時代だからこそ、玉木宏さん演じる倉本艦長のようなリーダー像が絶対に求められているんじゃないかと。だから、『真夏のオリオン』が今までの戦争映画とは違った作品に見えるというのは、たまたま偶然、時代に折り合ったといえるし、ある意味、必然だったともいえるんじゃないでしょうか。
――篠原監督が日本のパートを監督し、岡田俊二監督がニューヨークユニット監督としてアメリカのパートを演出していることについて教えてください。
外国人の演出はそれなりに英語が通用しなくてはならないと思います。僕の英語力ではどうも? ということはあったのですが、縁あって永年ニューヨークで仕事をされている岡田さんにメガホンを取っていただきました。ただ、一本の作品として観たときに、別の視点からアメリカ側を見つめることで、日本とアメリカの両者がちゃんと対等に描かれていて、複合的な作品に仕上がりました。その結果、お互いが真正面から向き合うことの大切さを伝えることができました。共存すること、それが必要なんだというメッセージが伝わると思います。僕がどちらのパートも演出していたら、こういう作品にはならなかったかもしれませんね。いろいろな力が混ざり合ったという点も、『真夏のオリオン』がエネルギッシュになった理由だと思います。
――観客の皆さんにメッセージをお願いします。
どんな苦境に立たされても生き残るんだという、乗組員たちの戦いを描いた池上司さんの「雷撃深度一九・五」という素晴らしい原作小説。そこに、“真夏のオリオン”というキーワードで過去と現代が結ばれるという福井晴敏さんの感動的な脚色が結びついて、本当にスケールの大きな作品になったと思います。倉本艦長と部下たちのきずなを通して、人と人とがきちんと向き合うからこそ生まれるパワーを感じていただければと思います。それはいつの時代にも必要なことですし、決して明るいとはいえない現代では、より求められているものではないでしょうか。第二次大戦末期を描いた戦争映画ではありますが、観ていただければ、「今を描いた映画なんだ」と感じていただけるはずです。
取材・文・写真:内田涼 編集:シネマトゥデイ |
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